アイデンティティ(identity)

はい、今日はよく用語は聞くけどイマイチ何だろうと思っちゃうアイデンティティ(identity)について。

これはエリクソン(Erikson,E.H)の人格発達理論における青年期の心理社会的危機を示す用語です。
正確にはエゴ・アイデンティティというようですが、最近は略して使われる事が多いですよね。
日本語訳では自我(自己)同一性とされています。

「自分って何者なんだろう?」
「自分は将来どうなるの?」
「自分の人生の目的ってあるの?」
「自分の存在に価値があるんだろうか・・・」

以上のようなことと自己を社会の中に位置づける問いかけに対して、肯定的、確信的に答える事が出来ればアイデンティティは確立されやすくなり「自分は社会の中でこういう位置づけだぞ!」とバランスよく生活する事ができます。
この逆がアイデンティティの拡散です。
アイデンティティの拡散は自己が混乱して、「自分は社会にいる価値があるんだろうか・・・」と社会的位置づけを見失う状態を意味します。

エリクソンの人格発達理論は通称アイデンティティ理論とも呼ばれたりします。
この理論はアイデンティティを中核としているからです。
エリクソンの理論は彼の生い立ちである、養子であること、ユダヤ人であったことなど・・・それらと密接に結びついて生まれてきています。
エリクソン自身がアイデンティティの模索をし続けた人生だったのですね・・・。

アイデンティティは青年期の危機を示す用語ですが、歴史的・民族的・社会的な一個人の存在全体を示す概念でもあるようです。
そして、青年期のみならずその人の人生全般に関わる課題と捉えられています。

エリクソンの理論は次の8段階です。

  1. 乳児期:信頼vs不信
  2. 幼児期前期:自律性vs恥・疑惑
  3. 幼児期後期:自発性vs罪悪感
  4. 学童期:勤勉性vs劣等感
  5. 青年期:アイデンティティvsアイデンティティ拡散
  6. 成人前期:親密性vs孤立
  7. 成人期:世代性vs停滞
  8. 老年期:統合性vs絶望

以上のような段階の8つの危機をうまく乗り越える事が良い人格形成につながると考えられています。
でも、信頼が獲得されたからといって、不信な面は不必要と言うわけではありません。
一見負の要素を持っているような項目もちゃんと各段階でクリアしなければ、決して健全な人格はできません。
不信に思う事がないと、すぐに詐欺に引っかかっちゃうし(笑)
それぞれ対になった項目をクリアしつつも、前者の方が後者を上回る形で獲得していく事が大切ということです。

長々と書きましたが、今日の勉強記録、少しは勉強になりましたか?