森田療法(Morita therapy)
はい、今日は森田療法(Morita therapy)について。
この精神療法は、森田正馬(まさたけ)によって創始された神経症の治療法の一つです。
日本独自の精神療法の代表ですが、近年、海外でも注目されているようです。
治療の目標は「とらわれ」からの脱出。
この森田療法の特徴を以下にまとめます↓
- 原因を取り除くような方法ではない(人は誰だって神経質な面を持っている。病気だと思うから病気なのであって本来は病気ではないという考え方。「あるがままの自分」を受容する事が大切という考え)。
- 体験重視の治療法(恐怖と向き合う事)。
- 主体的努力の重視(今の自分を変えたいという強い意志。自分で自分の悩みを解決、克服しようとするのを最大限尊重する)。
- 知る事・学ぶ事(人間理解に基づく心理・教育を重視)。
- 短期の治療法である(悩む人の心と健康な力を信頼し、活用する。治療法や治療目標が具体的で分かりやすい)。
以上のような事があげられます。
さて、ここからが他の精神療法と違う興味深い治療方法について。
この森田療法は原則として入院して治療する精神療法で、40〜60日間入院し、治療段階は第一期〜第四期で構成されています。
- 第一期(臥褥期;がじょくき):約7日
食事、洗面、トイレ以外は横になって寝たまま。
この期間は入浴できません。
1人部屋の何も刺激がないような状態で過ごします。
身体を動かして気分転換することを禁じ、自分の症状と向き合う期間です。
- 第二期:約7日
第一期の苦悩から抜け出し、活動したい欲求が高まってきます。
少し躁状態(鬱病の反対。気分が高まり過ぎる状態)になる患者が多いので、やる気を出す人も多いのですが、頑張りすぎない事を強調します。
この時期は草取り、掃除、選択などの軽作業をし、夕食後に日記を書いて、一日を振り返ります。軽い運動にラジオ体操をする施設が多いです。
- 第三期:約1週間〜2ヶ月(ここからが入院施設の方針で期間が大幅に違います)
この時期は薪割り、木工、農作業など重作業をし、忍耐力を養い、仕事をやり遂げた時の喜びを体験させる事により身体症状が脅威でない事を体験させ、理解させる時期です。
この頃相部屋にします。
委員などを決めて動物や植物の世話をしたりもします。
- 第四期:約0〜1ヶ月
この時期から復帰の準備をさせます。
主治医と話し合い、社会復帰を目指し、必要に応じて外泊もできるようになります。
以上のような手順を踏みます。
他の治療法に比べ、手順が分かっている分、経過が分かりやすく、自分自身でもどの段階にいるのか分かりやすく、安心感があります。
ただ、入院費がバカになりません;
15〜95万円という、かなり高額な治療費です。
だいたいどの施設も95万円前後を見ていた方がよいです。
もちろん、薬代などで大きく差がでますが(ソーシャルワーカーに相談できる病院もあります。ご確認を)。
ベッド数は平均10〜20床。
入院している人は大体5〜20人。
10代〜50代の方が多く活用しています。それ以上の年齢でも良いのですが、重作業があるのであまりお勧めできません。
入院施設により方針がかなり違います。
コミュニケーション重視で、スポーツ大会を開いている施設もあれば、限られたお金から物を買って生活するという方法を学んで社会性を身につけさせるためにお小遣い制度を設けている施設。
コミュニケーションなどは一切なく、自分と向き合う事だけに熱を入れる施設もありますし・・・比較検討することをお薦めいたします。
ただ、現在森田療法の入院施設は多くはありません。
森田療法の考えを活かした外来施設がほとんどです。
この考え方に共感できる方は調べてお近くの外来森田療法施設に行かれると良いかもしれません。
以上のような事を色々勉強してきました。
今日の勉強、ためになりましたか?