クライエント中心療法(client-centered therapy)

はい、今日の勉強はクライエント中心療法(client-centered therapy)です。
これは日本のカウンセリングでは一番活用されている方法だと思います。
まず、この療法はロジャーズ(Rogers ,C.R.)により創始された心理療法で、その初期段階では非指示的精神療法とよばれていました。
それは、それまで伝統的であった指示的療法や解釈的な精神分析に対して「指示を与えない」という特徴が強調されたからです。
1951年にロジャーズは自分のこの考えをクライエント(来談者)中心療法と名づけます。
クライエントとは括弧の中にも書きましたが“来談者”という意味です(あとでクライエントの話は少し書きます)。
問題は何か、どう解決したら良いかはクライエント自身が一番よく知っているという考えがこの理論の支え。なのでカウンセラーはクライエントに何かを教えたりする必要はないってことです。
クライエントの体験を聴き、その体験を尊重する事が一番の問題解決になるという考え方です。このクライエント中心の態度がクライエントの本来の力を十分に発揮し問題を解決していくと考えています。
① 共感的理解(“あたかも”自分のことのように理解する)。
② 無条件の肯定的配慮
③ 真実性(カウンセラーとしての役割行動や防衛的態度をとらず、自分の感情とその表現が一致している事)。
カウンセラーの心構えは上の3つが特に挙げられます。
このような態度ができたのであれば、
① 自己を脅かす現実を自己を守るために歪曲して認知する事をやめ、あるがままの状況を正確に受け入れる。
② 自己に問いかけ個々の選択を決定し、その決定をした自己を信頼する。
③ 理想を手にするよりも、そのプロセスであることに満足する。
というクライエントの成長が見られるようになります。

しかしながら、カウンセラーの心構えの3つ目の真実性。自分の感情とその表現が一致と言いますが、教授はあまり自分の感情を出さない方が良いと言ってました。
自分の考えを言うよりも、共感的理解や無条件の肯定的配慮の方が断然大切だと。

以上のような考え方が現在一般的に広まっているカウンセリングの考え方です。
カウンセリングを受ける時に「これはちゃんとした機関だろうか?」と気になったら、「先生はどのような考え方を基盤になさっていますか?」と質問してみるのも手かもしれません。「自己流です」とか「自分の考え方を中心に…」なんて言ったら辞めておきましょう(まぁ、そんなアホな人はいないでしょうが)。それからカウンセリングの1回の料金の目安は6000〜15000円くらいです。その範囲には収まると思います。相談機関によって料金はかなり違います。
大学付属のカウンセリングだと大学院生が関わったりするのでとても安いです。3000円くらいなもの。いつかカウンセリングの話も書きますね。

さてさて、今日の勉強、少しはお役に立てましたか?

クライエント(client)

はい、じゃ、今日は補足としてクライエント(client)について手短に。
クライエントについてはクライエント中心療法にも書きましたが“来談者”という意味で“カウンセリングを求めて来た人”という考えです。
心理療法では治療者(セラピスト)に対して、患者(ペイシェント)の語が用いられているのが普通です。
でも、カウンセリングにおいてはカウンセラーに対して、クライエントという名前を用います。
これは「患者」という語彙が持つ、なんというか…病的なイメージではなく、自らの悩みを打ち明けに、カウンセリングルームに自らの意志で訪問する…自発的で、病理的イメージを弱める働きがある、配慮された言葉だと思います。
以上、簡単なクライエントの説明でした。