④⑤の項目について(バウム・テスト⑤)

はい、今日も残りのバウム・テストについて書いていこうと思います。
では、まず「④木の特徴はどんなか」ということと「⑤描き方の特徴」についてです。
以下の項目があるでしょうか?少し①の空間象徴と重なるような内容があります。


画面の左上にある木:存在感が希薄。
画面の左側に寄っている木:引きこもり、逃避傾向。
右の方へ木が寄り、半分が見えない:消極的、依存的でいつも誰かの子分になりやすい。非行に走る傾向もある。
左の方へ木が寄り、半分が見えない:社交的に振舞うことで自分を防衛している。
木が上半分に浮いている:親子関係に基本的な問題。
右へ曲がった木:自分の意思に反して順応している。
左へ曲がった木:引きこもろうとしている。
右上を目指して描かれた並木道:意欲を出している。
真上に向かった並木道:人生の意味を(自分なりに)見つけた人。
左上を目指して描かれた並木道:何かを止めることを意識している。
一つの木から2股に分かれた木:二重人格(解離性同一性障害)傾向。
画面に収まりきらない:わがまま、自己中心的。
根が浮き上がっている:自分を実力以上に良く見せようとしている。
地平線が高い:現実逃避傾向。
切り株:外傷体験。過去との決別。新しい人生への出発・決断している時。

以上のようなことが考えられます。
⑤の特徴については夜以降にUPしていきます。
参考程度に自分の絵と比べて見て下さい。

①空間象徴(バウム・テスト③)

はい、バウム・テストの続きです。
描かれた絵を見て下さい。
絵はどこに描かれていますか?
中央に描かれているでしょうか?
中央でなければ「左上」「左下」「左より」「右上」「右下」「右より」「中央上」「中央下」・・・どこに描かれているでしょう?
この描かれている位置(空間象徴)がバウム・テストではとても大切です。
この空間象徴はその他の描画法や、箱庭療法など使われます。
グリュンバルトという人が考え、まとめたんですけどね。
どこに描かれているかよく分からないんですが・・・という人のために簡単に言うと、空間象徴っていうのは紙を1/4に目で区切ってみて、中央か、左上か、左下か・・・以下略・・・どこ描かれているか、ということです。
さて、では解釈していきましょう。


中央の場合:バランスが取れています。健康的で安定しています。
左上の場合:生への傍観の領域。意識して防衛的・受動的。回避・抑制傾向。風・空虚・憧憬・願望傾向。
左下の場合:退行・発端・遅滞の領域。幼児期への固着(精神分析・・・フロイトの考えで、発達の途上での行動様式や精神的エネルギーの対象が固定され、それ以後の発達がさまたげられること)。無意識に防衛的・受動的。根源・発端・水・誕生。
左寄りの場合:母性・過去・内面重視の領域。内向性、防衛的。
右上の場合:生への対決の領域。意識して積極的で行動的にしています。努力・願望傾向。火・絶頂・終末・目的。
右下の場合:衝動・本能・葛藤の領域。無意識的に能動・攻撃的。拒否・敗北傾向。物・地獄・悪魔・土。
右寄りの場合:父性・未来・外界の領域。外向的で攻撃的。
中央上の場合:意識の領域。明るくて、自意識・精神性が高い。超感覚・神性。
中央下の場合:無意識の領域。暗くて、無色。無意識・物質性が高い。普遍的無意識。
という感じです。
さて、みなさんの絵はどこに描かれていたでしょうか?

②と③の項目説明(バウム・テスト④)

はい、ではお次は「②木の周りの付属品。環境などはどうか」と「③木の種類は何か」についてです。


まず、②の木の周りの付属品。環境などはどうかという点から。
以下の特徴があなたの絵にはありますか?
雨や雲が描かれている:外との関係で悲しく辛いことがあったりして、隠し事をしている傾向があるかもしれません。親から否定された過去など。
曇り空や霧:外との関係で辛く悲しい気持ち。
木の周りに花・蝶・鳥が描かれている:人に注目されたい傾向やちやほやされたい願望があるかもしれません。
蔦や蛇が木に巻きついている絵:親に対する煩わしさ。依存的な面も。
右からの風を感じる絵:社会から強い影響。内に引きこもらざるをえない状況。
左から風を感じる絵:やる気がないのに社会に出されている。
右に陰のある絵:意欲的で活動的。
左に陰のある絵:自分の内面に興味があるようです。
丘の上:自己中心的で、不安定な孤立感を抱いているかもしれません。
狭い丘:リーダー願望があっても実力が伴っていないかも。
黒い土:身近な人に対する嫌悪感や不信感。
凸凹した土:不安からくる多動児。
地面に石:臆病。防衛的孤立。
柵で木を囲む:用心深い。臆病。限られた幸せの中から幸せを願う気持ち。
植木鉢の中に木:世間知らず。
草に埋もれるようにして描かれている:甘えたい。居心地が良い時。
木が沢山:他人の存在を強く意識している。

さて、当てはまる項目はありましたか?実は私は2個あります;;;


では、お次は③の木の種類は何かということです。
これは国や地域によって多少左右されると思いますが、簡単に。
広葉樹林:一般的。
針葉樹林:寒い地域の人や、クリスマス前に描かれる(モミの木とか)と、一般的。ただ、日本で真夏に描かれたりすると緊張が激しい人、トゲトゲしい人であったり、逃避傾向が強い人である可能性があります。
その他にも詳しく言うと、イトスギだと理想が高い人。コナラ属は伝統を重んじる人。しだれ柳抑うつ傾向がある人。剪定された柳は成熟拒否などがあげられます。
松の木を描いた人もちょっと要注意です。
前に少年院に入った人のバウム・テストを見たのですが、描かれた木が鉢に入った盆栽でした。・・・木を描いて下さいと言われて盆栽を描く・・・衝撃的でした。
ものすごく上手でしたけどね、絵は。

さて、描かれた作品に当てはまる項目はあったでしょうか?
④以降は明日にはUPするつもりです。明日は遠出と児童訪問のお仕事があるのでもう寝ます。
おやすみなさい↓

バウム・テスト(Baumtest)②

はい、今日の勉強記録は、昨日に引き続きバウム・テスト(Baumtest)についてです。
絵、描いて下さいましたか?
まず、バウム・テストについてのあらましを。
スイスの心理学者コッホによって創始された投影法性格検査です。実施が簡単なので、病院の臨床の場や学校、各種の教育機関で使われています。
他の描画法と同じように、さまざまな年齢層に対して使えますし、また緘黙のように言語表出が難しい子どもにも、知的能力や発達の診断に用いる事が出来るというメリットがあります。
ちなみに“バウム”とはドイツ語で“木”という意味。
バウム・クーヘンというお菓子はご存知の方も多いはず。結婚式の引き出物でもよくもらいますよね(バウム・クーヘンの年輪のように結婚生活の年も順調に重ねていきます・・・というような思いをこめて引き出物にするようですが)。


と、ちょっと話がズレました;;;元に戻します。
A4の用紙と鉛筆を用意して、「実のなる木を1本描いて下さい」とセラピストが教示して絵を描かせ、その図からその人について解釈していきます。
さて、ここからが新しい内容。
バウム・テストでは以下のポイントに従って判断していきます。
①絵がどの位置に描かれているか・・・空間象徴を見る。
②木の周りの付属品。環境などはどうか。
③木の種類は何か。
④木の特徴はどんなか。
⑤描き方の特徴はどうか。
⑥視点はどこにあるか。
⑦幹・枝・葉・実の表現の仕方はどうか。
・・・以上のようなところを見ていきます。
長くなるので①と②、③と④など、各項目を後で作るので見て下さい(恐ろしく長い内容になりそうなので)。

治療者の前で描かれるのが基本で、宿題として持って帰るにしても、誰がその絵を見るか(もちろん心理療法ではセラピスト)という事もちゃんと頭に入れておかせる必要があります。
急にイメージが噴出してくるような場合には描画をやめた方が無難で、そのような場合は急激な退行(困難な状況や情緒的混乱状態になった時、行動が発達上の初期の状態に戻ること。赤ちゃん返りって言うと分かりやすいですかね?)を見せる事があります。
神経症で極度の不安を抱えている場合や急性期の統合失調症の患者にも絵画療法は避けるべきです。具合が悪くなります。
被検者の負担が少なく、短期間の内に資料を集める事ができ、短期間で繰り返しやってもらうことも出来る点で、有効的な心理検査です。
欠点としては、簡単であるがゆえにむやみやたらと使用される点や、多義性を含んでいるので、検査者にとっては解釈が難しいことも上げられます。
何回も、何枚も絵を見て解釈した人には同じ特徴を描いていても違いが分かりますが、あまりやったことがない人だと解釈を誤ることもしばしば。解釈はあくまでも仮説。断定せずに推測を並べて大きく捉えること。
初めての方が多いかと思いますけど、参考程度にして下さいね。
では、ご自身の絵を見ながら参考程度に項目を追って自分の絵を解釈して見て下さい。
何度も言いますが、本当に参考程度に。
私も、100枚はバウム・テストの絵を見てきていますが、やはり専門のセラピストの方、教授などの分析のようにうまく行かないですからね;;;(当たり前だけども)
特に自分の絵についてはなかなか自分では解釈できないものです。

バウムテスト(Baumtest)①

はい、今日の勉強記録は、バウムテスト(Baumtest)についてです。
スイスの心理学者コッホによって創始された芸術療法の中の1つで、絵画療法に含まれ、投影法の一つでもあります(ここら辺はサッと読んで下さい;;;)
A4の用紙と鉛筆を用意して、「実のなる木を1本描いて下さい」とセラピストが患者に教示して絵を描かせ、その図からその人について解釈していきます。
まぁ、字を見ていても面白くありません。
A4の用紙はありませんか?
鉛筆もありますか?
描いてみて下さい。
明日、その絵についての解釈と勉強記録を更新します。
たまにはこんな勉強記録の方法も良いかしら?(本当は描いてもらわないと説明がしにくかったのですが;;;)
明日の勉強記録、楽しみにしていて下さい。
自分の絵と照らし合わせてみてくださいね。

遊戯療法(play therapy)

はい、今日はの勉強記録は遊戯療法(play therapy)について。
この遊戯療法というのは、子どもを対象とした心理療法で、その名の通り「遊び」を媒介として行われる心理療法のこと。
A.フロイトM.クラインアクスラインによって始められた心理療法です。
心理療法の多くは状況や感情を言葉を使って進めていくのですが、言語能力がまだ未成熟な幼稚園や小学校に通う子どもにとっては自分の状況や感情を巧くセラピストに話すことはとても難しいです。
そのため、遊びが言語に代わる表現手段として使われます。
また、遊び自体が自分の感情や問題を表現するものなので、治療的効果(症状が良くなること)をもつとも考えられています。
遊戯療法のための主な設備はプレイルームと呼ばれる遊戯療法を実施する部屋と、遊具です。
プレイルームは適度な広さをもち、あたたかい雰囲気で、安全である必要があります。
狭いと動き回れないですし、広すぎるとコミュニケーションが取りにくい。あたたかい雰囲気…というのが想像しにくいかもしれませんが、会議室や…まぁ、極端な話、校長室みたいな部屋では活動したくないですよね。冷たい雰囲気にしないように心がけていると暖かい雰囲気の部屋ができると思います。安全に気を配るのは当たり前ですね。
遊具は人形、動物、乗り物、武器、楽器、砂場、積み木、水遊びの道具、画材や粘土、絵本やパズルなど色々な種類のものを備えておきます。
そして、壊れているもの、何か深いところを刺激するような物も混ぜておきます。例えば足や手のない人形、檻、教会、柵・・・壊れているオモチャで自分の症状を表現しようとする子もいますし、宗教的な遊びをして内的世界を表現する子もいます(もちろん、自分を表現しようと選んで遊んでいるわけではありません。無意識的な行動です)。子どもが自分を投影(心理状態やパーソナリティが反映されること)できるような遊具が不可欠です。ただ、遊具が多すぎると選ぶのが大変で、かえってストレスを生む元となりますから、適度な量を心がけないといけませんね。・・・難しいですけど;
ちなみに、ロゴって、小さいブロックを組み合わせるオモチャ、人気が高いみたいですよ。
そして、プレイルームにおいて治療原則としてアクスラインの「8つの基本原理」が用いられています。

  1. 友好的な関係を結ぶこと(ラポールの形成)。
  2. 子どもをありのままに受け入れること(受容)。
  3. 許容的な雰囲気を作ること。
  4. 共感的に接すること。
  5. 子供に尊敬心を持ちつづける。
  6. 子供が先導する。
  7. 自己治癒力に信頼を持つこと。
  8. 制限を設ける。

以上のようなことが挙げられます。
特に⑧の制限のルールとしては

  • 時間がきたら退出すること(時間の制限)。
  • プレイ・ルームを勝手に出ないこと(場の制限)。
  • 過度の攻撃の制限。
  • 遊具は持って帰らないこと(物のやり取りの制限)。

などを掲げることができます。
制限を加えると子どもは嫌がるとか思われるかもしれませんが、セラピストと子どもが安心して治療ができるように、また、攻撃行動をしてしまった場合、後から罪悪感を子どもに感じさせないようにすることも大切ですから、以上のような制限が必要となってくるのです。
週一回、およそ40〜50分の間、子どもとセラピストが関係を築いていきます。
そして同様に親面接も行います。
子どもの問題行動は、子どもだけに問題があるわけではなく、子どもの周囲に問題が起こって、子どもがそれに影響を受けているという見方もできます。
遊戯療法と並行して別の担当者による親面接を実施することがほとんどです。
遊戯療法により子どもの健康の回復を図り、親面接では親に対する援助をし、セラピストだけではなく、親も治療を理解しながら子どもを援助していくことが大切です。
保護者は「自分の養育態度が悪かったのかしら?」とか、「子どもに障害があったらどうしよう?」などと色々悪い方に悪い方に考えながら来談することがほとんどです。
セラピストは来談したことを労いながら、子どもがどうやったら問題を解決することができるかを保護者と一緒に考えていくことが大切です。
あまりにも子どもの立場に立ちすぎて、親を責めるような物言いをしてはいけません。
以上のようなことを気にしたりしながら遊戯療法は進められていきます。

今日の勉強記録、ためになりましたか?

フォーカシング(focusing)

はい、今日の勉強記録はフォーカシング(focusing)です。
ロジャーズの共同研究者でもあるユージン・ジェンドリンの体験過程療法の中で使われる主な心理療法です。
この理論は、しっかり体験すること、感じること、味わうことを大切にしている理論です。
身体で感じられるけどまだ言葉にならないような「感じ」をフェルト・センスというのですが、フォーカシングというのは、フェルト・センスを受容的に注意を向け続ける事で、漠然と感じていた、本当の自分の気持ちに気づいたり、混乱していた気持ちを整理したりするまでのプロセスと思ってもらえればいいと思います。
そして、自分の気持ちとぴったりくることをフェルト・シフトといいます。
フォーカシングの標準的な手順は、まず、どんな事が気になるかと内省(自分の心の働きや状態を探求すること)した上でその事柄をその場に置いておくこと、「間をおく」というプロセスを取ります。
楽な自分でいられる心の場所、自分に優しく、そして冷静に問える場所をイメージします。自分のことを余裕を持って見つめられるようにすることが大切です。
次いで、「間をおいた」ものから特に気になるものを1つ「選ぶ」作業をしていきます。
その選んだ事柄のフェルト・センスをしていきます。選んだ内容の、言葉にならない感情、身体では感じられるその感情を味わってみます。
その感じを掴みながらどんどんフォーカシングしていき、段々形になってきたらそのイメージにあった「見出し」をつけ、その見出しが「響鳴」できるかどうか感じでみます。
うまくいかなければ再度、「問いかけ」て見ることも大切です。
そして、どんな内容の事に気づいてもそれを「受容」することにより、フェルト・シフトが得られ、心が安定していきます。

実際の臨床場面で1時間近い面接の間中フォーカシングすることはありません。
面接過程の中で折に触れフォーカシング技法を取り入れ、心理療法を行うと効果的です。

このフォーカシング、なんだか特別のことをしているように感じられるかもしれませんが、日常の中で、私たちは普通に行っている行為だと思います。

ちょっと簡単にまとめてみますね。
「なんだかちょっとモヤモヤした気分」だとか「今日はなんだか分からないけどソワソワしちゃう」というような感情を感じたことがありますよね。
…これは身体では感じてはいること。
この感じをフェルト・センスといって、「どうしてモヤモヤしてるんだろう?」とか「ソワソワするようなことがあったっけ?」と考えていくことをフォーカシングといいます。
「あ、そっか、来週から試験だったなぁ。それを気にしてるんだ」とか「モヤモヤしてるのはレポートを溜めてるからだわ!」とぴったりと当てはまることに気づくこと、これがフェルト・シフト。
日常生活では「見出し」を作ったりまではしていないでしょうけど…そうだなぁ…「試験前憂鬱症候群」とでも見出しをつけておこうかしら(笑)
この内容は見やすいですが、どうしても自分では受け入れがたいような内容もたまには浮かんでくることがあるでしょう。
それがどんなことであっても、「そういうこともあるよね。大丈夫だよ」というように受容していくことにより、フェルト・シフトが難しい問題でも起こってきたりします。
…そんな感じでまとめると…分かりやすいでしょうか?

案外よくやっていることだったのではないでしょうか?
何か言葉にならない感じ、最近ありましたか?
これは新たな自分探しにも役立つと思うので、やってみるといいと思います。
今日の勉強記録、いかがでしたか?